少し前にネット上で、京都大学の入学試験問題をスラスラ解くこどもの話が注目されました(こちら)。

この記事によると、そういったこどもたちは”三度の飯より読書が好き”なのだそうです。

上記の記事の結論については私も100%同感です。さらに言えば、たくさんの文章を読むことで読解力が上がるだけでなく、読んだ文章をどんどん自分の引き出し=ボキャブラリーとして自然にストックしていくでしょうから、文章を書く力も意識することなく身に付くでしょう。

そうして国語力=日本語を扱う能力が高いレベルで身に付くとどうなるか。安直な言い方ですが、まずは恐らく仕事に困らない人生を送れるのではないかと思います。なぜなら、実は正しい日本語を不自由なく扱える人というのは世の中にそう多くはいないからです。また、日常生活においても他の人とのコミュニケーションをよりスムーズに行える可能性があります。SNS全盛のこの時代、言葉で気持ちを伝える技術の必要性は日々増していますので。さらに、読書という趣味はその人自身の心も豊かにしてくれるでしょう。つまり、高い日本語の能力を身に付けてマイナスになることは何もないと思います。

となるとポイントは、どうすれば ”三度の飯より読書が好き” になれるのか?です。そうなるには、そのこどもが読書を早いうちから楽しいものとして体験することがとても重要になってきます。そのためには、こどもにも楽しく読める本との出会いが必須です。しかし、ただ楽しいだけでは役不足なようにも思います。そこには日本語作品としての質の高さも求められるでしょう。

では、そういう本はどこにあるのでしょうか?

私がこどもたちにお勧めしたいのは、星新一さんの一連の著作です。なぜなら

  • 一話がとても短いので、飽きることなく読み切れる。
  • こどもでも読める平易な文章。
  • 実は奥が深いSF仕立てのストーリーが、自然に想像力も鍛えてくれる。

星新一さんの作品をご存じない方はぜひアマゾンなどでの評を見て頂きたいと思いますが、その読みやすさに相反する圧倒的なクオリティの高さが特徴となっています。

私は中学時代に星新一さんの作品群、また、同じSF作家の筒井康隆さんの作品群を片っ端から読んでいたのですが、このおふたりはスタイルは全く違えどとにかく理屈抜きで面白く、いま思えばとても贅沢な読書体験をさせてもらっていました。

ただ、当時私はものすごい田舎に住んでいましたので、やることと言えば、楽器の練習と勉強と本を読むくらいしかなかったのも事実です。それに比べると、いまは中学生でもiPhone Xを持っている時代。彼らがスマホのゲームではなく読書をするというのは、現実的にはかなりハードルが高いことなのかもしれません。